「のうだま」(上大岡トメ、池谷裕二著)読了。

本書に書いていることはただ一つで「やる気スイッチはBody(運動)、Experience(経験)、Reward(報酬)、Ideomotor(なりきり)である」ということですな。もうちょっと書くと、例えば英会話を続ける、ランニングを続けるというようなことも習慣化(馴化)させてしまえば高いモチベーションは要らないよ、ただ習慣化させるためにはやる気を刺激してあげよう、ということです。で、なんでそれがスイッチになっているのかという話でちこっと脳生理学(淡蒼球)について説明があるくらい。これで半分。残りはエクササイズとTips。
情報量が少なすぎて、これで1,200円はねえなぁ…。


Tipsのほうも、とりあえずジムに行ってみようとか、10日続けられたらご褒美とか、たまに喫茶店で勉強してみるとか経験則的にもいたって当たり前の内容が…。


多分DSあたりでゲームにすれば良かったんですよね。「20日間で習慣化トレーニングDS」みたいな。目標設定してカレンダーに報酬を書いておいて毎日記録する的な。データを記録するためにDSを起動するとTipsが読めるよみたいな。


なり切るってアイデアはちょっと面白かった。演じているうちにその気になってくるみたいな。「のうだま」ってタイトルは脳玉=淡蒼球ってだけじゃなくて、「脳はダマされやすい」のダブルネーミングじゃないかと思った位。でも、一晩あけて見たら、成功した自分を思い描くっていうのもよくあらあね。


思うに、良い習慣は悪い習慣によって上書きされやすいんですよね。悪い習慣を実行しているときもやる気スイッチが刺激されて、どぱどぱドーパミンが出てるってことっしょ?例えば、夜帰ってから顔を洗わないとか…。悪いことしてるって一種の快感だったりすると思う。善悪の基準がはっきりしていればしているほど。一盗二婢三妓四妾五妻なんてその辺の最たるもんじゃね?


というか、人間活動できる時間は決まっていて。24時間×7日間=(睡眠6時間×7日)+(仕事10時間×5日)+(食事1時間×7日)+(入浴その他1時間×7)+αについて解くと、α=20時間となって、一週間に20時間しか余裕が無いわけで。週に2時間ジムに通うおうと思ったらアクティビティの10%ですよ。月2万円のお小遣い貰ってカツカツに使っている人が、2千円分を貯金にまわしてみるとかそんな話。毎日買っている缶ジュースをやめるとか、週刊ゴルフ雑誌の講読をやめるとか、その位のレベルですな。結構、大変ですよ。色々やるのも生き方ではあるけど、効率的にやろうと思ったら資本の選択と集中が必要な訳ですよ。要するに、今何をやるべきか、って話ですな。ただ、常に多様性を求めてる我が三次元アリさん脳にとって、これが、実に難しい注文なんですなあ。


そういえば、「なりきり(Ideomotor)」って言葉聞いたことがなかったんで辞書で調べたけど、観念運動性と載っていた。さらにググってみたけど、あんまりズバリって答えがない。無意識が体に運動として作用する、というようなことが書いてあった。催眠術やこっくりさんみたいのも観念運動なのかな。
おかげでp111あたりがようやく理解できた。上記の話と総合すれば、成功した自分でもいいし、成功した誰かをイメージすることで振る舞いが体にも出てくるし、淡蒼球も刺激されてやる気もムクムク湧いてくる、って寸法かな。学術的内容を勝手に解釈するのは危険だと思うけど。