「アブサン物語」読了。

アブサン物語

アブサン物語

本屋でふと見かけて手にとってしまった。というか、表紙に猫が描いてあったり「猫」の字が見えたら買ってしまう確率が高い。もしかしたら、俺は猫好きではなかろうか。
作家と猫というのは、どうにも相性がいいように思える。作家というフィルターを通すことで、猫を見る人間が見えてくる。猫関係のエッセイとは、つまり猫を見る作者自身のことを書いた本なんだなあと。
たとえばアブサンという名前からしても、ヨーロッパの港町でアブサンを飲みすぎて喉を潰した女のような鳴き声である、というところからつけた名前…ということだけど、そういうあたりがいかにも作者の人となりを表していると思ったりするわけで。いいおっさんが、はたきを持って猫の前でグルングルン回すなんて、絵面を想像しただけでおかしみがある。
作者自体の文体の軽妙さもあって、なかなか心地よく読める一冊でした。
こういう文なら、時代屋の女房も読んでみてくなりました。