「川釣り」読了。

川釣り (岩波文庫)

川釣り (岩波文庫)

夢枕獏の釣行記を読んでいたら他の人のも読んでみたくなり、古本屋で入手したものの本棚の肥やしになってしまっていた本。
井伏鱒二というと、「山椒魚は悲しんだ。」で始まる山椒魚とかが有名ですかね。小学校の国語のテストに出ていたところしか読んだことがないけど。あとは、「サヨナラダケガ人生ダ」という有名な言葉を残している。共にインパクトのある文だけど、本書は割と普通の散文。


大体この手の文において、釣りそのもののことってあんまり書かれないのかなと。やったことがないから分からないけど、獲物が針に掛かるまでのぼーっとした時間とかって、文章にしにくいんだろうなあ。単車を転がしている時間も煮たようなもんだと思う。旅先でのアレコレよりも、単車を転がしながら思い浮かぶよしなしごと、これが堪らない時間なのにどうにも文にはしにくい。
まあ、そんなわけで釣りそのものというよりは、宿でのやりとりとか、釣り仲間とかのやりとりとか、そういった備忘録的なものがメイン。


amazonでは、井伏鱒二ヒューマニズムが…みたいな意見が見られたけど、俺にはあんまり良く分からなかった。釣行記という観点で手に取る人はそんなに多くないだろうから、井伏ファンがそう評したんだと思うけど、ともあれ他の作品もちょっと読みたくなってきた。青空文庫に収められていないのが残念だなあ。